肛門の疾患を詳しく説明します。
外痔核には、血栓性外痔核と、かんとん痔核があります。外痔核は肛門痛を必ず伴います。
血栓性外痔核

血栓性外痔核

説明図(断面)
痔核の中央部に血栓(血のかたまり)が見られます。
かんとん痔核

かんとん痔核

説明図(断面)
肛門全周が腫れ上がっています。これは、肛門から脱出・還納を繰り返してきた痔核が、あるとき突然に肛門括約筋(肛門を閉じる筋肉)の不随意的な収縮によって締め付けられ(絞扼)、痔核から出る静脈血がせき止められ、痔核内の血液充満そして血液の凝固(血栓形成)と進行し、その結果血液環流がさらに障害されるという悪循環に陥り、腫れ上がったものです。

歯状線より上方に生じる痔核です。
内痔核の臨床病期分類として、Goligherの4分類が多く利用されています。
内痔核+外痔核

内痔核+外痔核

説明図(断面)
部分的な粘膜脱を伴う内外痔核です(Goligher3度)。
内痔核+外痔核

内痔核+外痔核

説明図(断面)
内痔核(Goligher4度)と外痔核の合体です。
ジオン四段階注射法(Goliger分類の2度と3度が適応)
局所麻酔や腰椎麻酔後に、4ヶ所にジオンを注射します。約4ヶ月で治癒します。
第1段階@、第2段階A、第3段階B、第4段階Cと4ヶ所にジオンを注射します。

@痔核上極部粘膜下層へのジオン注入
(青、第1段階)
A痔核中央部粘膜下層へのジオン注入
(緑、第2段階)
B痔核中央部粘膜固有層へのジオン注入
(橙、第3段階)
C痔核下極部粘膜下層へのジオン注入
(ピンク、第4段階)

Z型(筒型)肛門鏡を挿入
ジオン注射実施中
詳しくはこちらのリンク先を参照下さい。

裂肛とは、肛門上皮に生じた裂創の総称で、最初は太くて固い便塊排出による肛門過伸展によって発生する一過性の裂傷(きず)(急性裂肛)のことが多く、保存的治療で治癒するのが普通ですが、裂傷を繰返していると難治性の慢性裂肛となり、外科的手術が必要となることも少なくありません。
慢性裂肛

裂肛

説明図(断面)
多くの場合、裂肛の上端には肛門ポリープ、下端には見張りいぼという皮膚の隆起が見られます。

直腸・肛門周囲膿瘍とは、直腸・肛門部周囲とその周辺の皮下、粘膜下、筋間などに膿瘍(膿が1ヶ所にたまること)を形成したものの総称です。
肛門周囲膿瘍

肛門周囲膿瘍

切開排膿

直腸肛門周囲膿瘍と痔瘻は、同一疾患です。
肛門・直腸周囲膿瘍

肛門・直腸周囲膿瘍
歯状線の肛門陰窩(crypt クリプト)から細菌が侵入し、肛門腺膿瘍を形成します(@)。さらに直腸肛門部の空間に波及し、直腸周囲膿瘍(A)および肛門周囲膿瘍(B)と進行します。その後自然に破れたり(自潰)、切開拝膿によって瘻孔(ろうこう:膿の通る道)を形成していきます(痔瘻化)(C)。従って、直腸肛門膿瘍と痔瘻は、同一疾患であって、始まりの急性期には膿瘍という形で現れ、その後慢性期になると痔瘻という形態をとるといわれています。

肛門から直腸が脱出します。
直腸脱

直腸脱

説明図(断面)
肛門から直腸が脱出。
肛門の解剖|主な肛門疾患